こんにちは、さーふです!
くらべるブログでは、子育てに家事に仕事、忙しい日々を送る共働き奥様やパート主婦の方でも時間をかけずに良い選択ができるよう「住まい」に関する情報も発信しています。
最近、友人が次のように話してきました。
最近、蓄電池どうですか?って営業が家に来てさ~
太陽光発電を付けてるお客様なら、お得に始められて、
電気代も安くなりますよ~
だって。
災害対応にもなるって言うし、蓄電池買っちゃおっかな♪
前向きに検討している様子の友人でしたが、ちょっと導入は待ってもらって、本当にお得なのか友人宅のデータを基に検証してみました。
そこで今回は、その時の検証結果を紹介します。
この記事を見ていただければ、自分でも検証して、判断できるようになります。
蓄電池どうしようか悩んでいる方は参考にしてみてください。
【本記事の内容】
【友人宅のプロフィール】
4人家族(夫:週5勤務、妻:週3勤務、子:週5学校)
太陽光発電(容量5.48kW)
売電価格30円/kWh(FIT中)
受電契約「中国電力 電化Styleコース」
1.太陽光発電と蓄電池の役割
まずは、そもそも太陽光発電と蓄電池が何をしているのかを解説します。
太陽光発電
太陽光発電を導入すれば、太陽光を電力に変換できるため、お家で発電してそのままお家で使用することができます。
また、使用しきれない電力があれば、電力会社へ売ることができます。
友人宅では、年間約6800kWh発電しており、この1/4になる1600kWhを自家消費し、残り3/4の5200kWhを売電しています。
つまり、1年間の売電収入は、5200kWh×30円/kWh=約15万円です。
設置が約150万円だったとのことから、約10年で投資回収はできそうです。
自家消費分(1600kWh)も、太陽光発電が無ければ電力会社から購入していたので、これを加味すれば10年経たずに投資回収できますね。
敷地条件、建物形状で発電量が変わりますので、「みんな絶対付けて!」とは言えませんが、1度は、太陽光発電の採用を検討してみてください。
蓄電池
蓄電池は、その名のとおり電力を貯めるものです。
蓄電池に貯める電力は、電力会社から供給を受けても良いですし、自宅の太陽光発電から供給を受けても良いです。
つまり、蓄電池導入によって、コストメリットを働かせるには次の2つのプランが想定されます。
次章で、コストメリットがあるのか検討したいと思います。
2.≪検証≫コストメリットがある?
太陽光発電の電力を蓄電池に貯めるプラン
先述のとおり、蓄電池を導入すれば、いつでも太陽光発電の電力が使用できるようになります。
友人宅の受電契約は、時間帯によって買電価格が違う中国電力の「電化Styleコース」です。
このコースは、平日日中9:00~21:00が30.62円/kWh(夏季は32.68円/kWh)、平日夜間21:00~9:00と休日が14.87円/kWhです。
一方、売電価格はFIT中で30円/kWhです。
30円/kWhで売れる太陽光電力を、電気代の安い平日夜間や休日に自家消費していては勿体ないです。
つまり、太陽光発電のある家で蓄電池からの経済的な恩恵を受けられるのは、太陽光発電からの電力の方が安い平日の日中に限られています。
この平日日中の恩恵で、蓄電池導入費用が回収できるかを検証してみます。
友人宅の電力使用量内訳は、次のとおりです。
年間合計 | |
使用量 | 4768 |
うちデイその他季 | 896 |
うちデイ夏季 | 234 |
うちナイト | 2095 |
うちホリデー | 1543 |
日中その他季896kWh×30.62円/kWh+日中夏季234kWh×32.68円/kWh=約35,000円が高い電気代で支払っているということです。
ここで、仮に蓄電池によって、この35,000円分(896kWh+234kWh)をすべて太陽光発電からの電力で賄えたとすると、10年で35万円、15年で52.5万円の電気代の支払いが無くなります。
蓄電池の寿命は10~15年、設置費用の相場は容量にも依りますが、概ね80~200万円ですから、現時点で投資費用の回収は無理なことがわかります。
つまり、このプランではコストメリットは証明できません。
ちなみに、このプランでの蓄電池のコストメリット発現にはFIT終了が必須条件です。
中国電力では、2024年1月時点で電気の買取価格が7.15円/kWhですので、平日夜間や休日であっても売るより自家消費した方が良くなります。
電気代の安い時間帯の電力を蓄電池に貯めるプラン
先に計算したとおり、1年間の日中の電気代は35,000円(896kWh+234kWh)です。
蓄電池を用いて、この電力を全て1kWh当たり14.87円の夜間電力にシフトしたとすると、896kWh×14.87円/kWh+234kWh×14.87円/kWh=約17,000円です。
蓄電池によって、毎年これらの差額18,000円(=35000-17000)の恩恵があるというわけです。
この恩恵は、10年で18万円、15年で27万円です。
つまり、このプランでもコストメリットは証明できません。
補助金活用で逆転するか?
どちらのプランもコストメリットはありませんでしたが、補助金を活用することで、これが逆転するのでしょうか。
環境共創イニシアチブ(SII)の「蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業費補助金」は、
- 補助金額は4万円/kWh(年によって変動あり)
- 設置目標価格は165,000円/kWh以内
となっています。
1kWh当たり設置価格165,000-補助金額4万=115,000円が手出し金額です。
仮に7kWhを設置すると、115,000円/kWh×7kWh=約80万円の手出しです。
先述の、太陽光発電との併用プランで50万円程度の恩恵が見込めましたが、手出しが80万円掛かってしまうと、投資回収までまだ届きません。
太陽光発電をすでに行っており、設置業者が設置価格を1kW当たり11万程度で設置してくれれば、蓄電池投資費用の回収の可能性はあります。
複数社見積りをとってみて、価格と仕様の確認をしてみてください。
また、SIIの補助金は年によって変わりますので、調べてみてください。
3.≪検証≫災害対応用になる?
お金が云々では無く、災害対応用に蓄電池を導入したい!と考える方もいらっしゃるでしょう。
確かに、台風によって停電し、家に灯りが無く、心細い思いをした経験は私にもあります。
蓄電池によって、安心を買うことができるのか、検証してみます。
蓄電池を導入する家庭の蓄電池容量は7kWh程度が多いようですので、7kWhで想定してみます。
友人宅の家電の消費電力はわからなかったので、我が家の家電等の消費電力は次のとおりです。
冷蔵庫(450L):76W
炊飯器:1,400W
オーブンレンジ:1,400W
食器洗い乾燥機:洗浄100W、乾燥600W
IHクッキングヒーター:5,800W
ホットプレート:1,350W
自動水栓:常時 0.8W
リビングLED照明:100W
寝室LED照明:40W
リビングエアコン:冷房2,380W、暖房3,740W
寝室エアコン:冷房655W、暖房1,160W
浴室給湯器:1,500W
テレビ:450W※関連機器含む
スマホ充電:20W
洗濯機:洗浄355W、乾燥880W
給湯機:1,500W
寒い冬にリビングエアコンの暖房を2時間運転すると、3,740W×2h=7.48kWhとなるので、7kWhの蓄電池は空っぽです。
どれほど寒くてもリビングエアコンを付けてはダメですね。
IHクッキングヒーターも使うとすぐに蓄電池が空っぽになってしまうので、災害用に1口ガスコンロを買った方がコスパが良いですね。
オーブンレンジや炊飯器、食器洗い乾燥機も使用を避けた方が良さそうです。
一方、食品が多く入っている冷蔵庫への給電は必要です。
その他、情報入手のためテレビの使用、スマホの充電を考慮すると、3日間の停電を想定して、冷蔵庫76W×72h+寝室照明40W×10h+テレビ450W×2h+スマホ充電20W×3h=約7kWhです。
7kWhの蓄電池で、こんな感じの生活ができそうですが、いかがでしょう。
私は、このくらいの生活が3日維持できるなら安心できそうだと思いました。
私の感覚では、蓄電池で安心を購入できそうです。
ただしこの場合、災害用蓄電池をどこに設置するかが重要です。
自宅が浸水想定エリア内にあるならば、その浸水高さ以上の位置に設置しておく方が良いです。
暴風雨によって、停電が生じ、いざ蓄電池を使おうとしたら浸水で故障して使えなかった。。。なんてことにならないよう、屋内の2階に置くのが理想的です。
まとめ
FIT中の蓄電池導入は、コストメリット無しですが、災害時の安心を買うという意味ではアリですね。
災害対応用で位置付けるなら、設置位置は浸水想定高さ以上とすることが肝要です。
今回のコスト計算は特定の家庭のデータを基にしていますので、違う結論になる家庭もあると思います。
誰でもできる内容ですので、導入検討中の方は、ページをプリントアウトして、数字を入れ替えていただくことでご活用ください。
以上、FIT中に蓄電池購入検討中の方の参考になれば幸いです。
さーふでした!
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